第67回日本リウマチ学会総会・学術集会

会長挨拶

第67回日本リウマチ学会総会・学術集会
会長 田中 良哉
産業医科大学医学部第1内科学講座 教授
田中 良哉

第67回日本リウマチ学会総会・学術集会を2023年4月24~26日までの3日間、福岡市で開催させて戴きます。学会長を拝命し、身に余る光栄に存じますと共に、関係の皆様のご支援、ご協力には重ねて心より感謝申し上げます。Covid-19パンデミックや露軍侵攻など、世界情勢が極めて不安定な状況下ですが(令和4年3月現在)、現地開催で実施する予定です。十分な感染対策を徹底しながら全面的に対面形式としますが、教育講演はオンデマンド配信の予定です。また、3密が危惧されるポスターを減らし、ワークショップを増やします。

21世紀は関節リウマチや脊椎関節炎の治療に大変革が齎されました。2003年に生物学的製剤が市販されて20年、2013年にJAK阻害薬が市販されて10年が経ち、まさに節目の年です。大部分の患者で寛解導入や関節の構造的損傷の防止が可能となりましたが、長期的な安全性、経済性、コロナ禍での医療、難治症例、臓器障害への対応、寛解後休薬、分子標的薬の使い分けなど、新たな課題も析出してきました。世界から高く評価されている本学会主導の市販後前例調査や組織的なレジストリなどの成績を礎に、本大会が、より進歩した治療戦略を世界に先駆けて挑戦、提案していく起点になればと存じます。

一方、全身性エリテマトーデスや大・小血管炎症候群等の膠原病諸疾患、免疫難病に対しても分子標的治療薬が使用可能となりましたが、臓器障害や再燃の抑制などの治療目標には到達しておらず、多くのアンメットニーズが残存しています。病態を解明し、病態に立脚した分子標的治療の開発が喫緊の課題です。本大会では、本学会の強みである学際的協調性、即ち基礎と臨床、内科と整形外科、小児と高齢者、新人とベテランなど、多角的な観点から専門性を追求する他国にはない協調体制を堅固なものとし、独創的なテーマや概念の創出に繋がる素地を構築し、新展開の起点になればと思います。

日本の独自性や特徴を活かした国際化を推進するために、企業の支援も受けて海外から多くの牽引者を招聘し、ACR、APLAR、EULARとの共同セッションを充実し、「その先へ…」の起点にします。また、前述の多くの課題を克服するためにも「その先へ…」を担う国内外の若い力の結集が必須です。トラベルグラント、優秀演題賞などを充実させ、HPやSNSを駆使して国内外の若手研究者が交流できる大会を目指しますので、是非ともご協力下さい。

テーマは『至誠通天〜その先へ…〜』です。郷里の吉田松陰先生の銘言からの改変ですが、元は孟子の離婁章句からの引用で、誠の心を込めれば動かない人など誰もいないという意味です。教育、診療、研究など何事にも心を込めて、その先を見据えてとの期待を込めています。不安定な社会情勢の中に於いて、「その先を見据えた」新たな起点となるような大会になればと祈念しています。皆様のご支援・ご協力をご高配賜りますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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